整形外科専門医、脊椎外科指導医が「せぼね」と「ひざ」の病気を中心に診療しています。

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病気の話

ひざの病気について(その1)

整形外科部長 川又 朋麿

わが国では寿命が大幅に伸び、もうすぐ四人に一人が65歳以上の高齢者で占められる社会になります。命にかかわる内科の病気は治療が進歩しました。しかし一方で体を支える足腰は、年とともに容赦なく衰えてきます。せっかく長生きしているのに、体の自由が利かずに思い通りの生活をできないといったことが起きかねません。

歩く・走る・しゃがむなど、何気ない動作によって大きな負担がかかるひざは、年齢とともにトラブルが発生しやすい関節です。特に中年以降の女性に多いひざの衰えに、変形性ひざ関節症が挙げられます。人生50年であった頃には見られなかったこの疾患も、寿命の延長とともに皆さんの足元にじわじわ忍び寄っているのです。ではどうして加齢とともにひざ痛が増えるのでしょうか?変形性ひざ関節症について、原因・症状・治療法を2回に分けて説明していきたいと思います。

今回は、その原因について説明します。

正常なひざの関節は骨と筋肉、靭帯(じんたい)が組み合わさっており、図のように大腿骨(だいたいこつ:太ももの骨)と脛骨(けいこつ:すねの骨)の端には弾力のある軟骨があります。この軟骨は、厚みはたった数ミリですが、衝撃を吸収し、硬い骨同士がぶつからないようにクッションの働きをしています。また、関節内は「関節液」で常に潤されていて、軟骨に栄養を与えているほか、関節の動きを滑らかにするのに役立っています。このような仕組みで、軟骨同士がこすれて生じる摩擦は、アイススケートで氷の上を滑るよりも小さく抑えられているのです。

左右の脚をそろえると両ひざの間に隙間が見られる人がいます。O脚とも呼ばれ、変形性ひざ関節症の「変形」とは、多くの場合このO脚を指します。ひざの「変形」は整形外科を受診する患者さんの中でも多い疾患で、レントゲン写真を撮ると、大腿骨と脛骨の間で軟骨が磨り減り、骨の隙間が狭くなったことがわかります。ひざの内側の軟骨が多く磨り減った場合に、O脚が生じます。立ちしゃがみでひざの内側が痛いのもこのためです。軟骨の磨り減りが進むと骨が象牙のように硬くなり、骨同士がぶつかる部位に棘(とげ)ができてしまいます。

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