整形外科専門医、脊椎外科指導医が「せぼね」と「ひざ」の病気を中心に診療しています。

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病気の話

脊椎内視鏡手術

脊椎脊髄内視鏡手術センター長 中川 智刀


 今の医学界は全分野において最小侵襲手技(MIS)の開発が盛んです。それはできるだけ患者さんに負担(ストレス)が少ない治療手技の開発です。具体的には、腹腔鏡や膀胱鏡、胃内視鏡、大腸内視鏡、心臓カテーテル治療などです。

 ※MIS=Minimamly Invasive Surgery(最少 侵襲 手術)


 整形外科の分野では、古くから膝関節鏡や肩関節鏡などの手術があり、MISの草分けでした。しかし、背骨の手術においては発展していませんでした。1998年にアメリカで腰椎椎間板ヘルニアに対して、初めて内視鏡下手術が施行されました。画期的な方法でしたが、手技が難しく機械も未発達であったことより一般化することはありませんでした。
 しかし近年、特に日本において手術機械の進歩や手技の工夫がなされ、安全で確実な手術法として進化を遂げることができました。


 当院では平成27年春より脊椎内視鏡下手術を本格導入いたしました。現在では腰の手術の9割が内視鏡を使った手術となっており、平成27年度は140症例に対して内視鏡手術をおこないました。

 

 平成28年、日本整形外科学会が認定する脊椎内視鏡下・手術技術認定医の資格を取ることができました。この資格は、先進技術である脊椎内視鏡手術を安全に普及するために設けられた資格です。日本整形外科学会専門医は17,280名、そのうち日本脊椎脊髄病学会認定・脊椎脊髄外科指導医は1,300名、そのうち脊椎内視鏡下手術・技術認定医は全国で140名程度です。東北六県で7名しかいない、取るのが非常に難しい資格です。脊椎内視鏡手術は、私(中川)と高橋永次整形外科部長が主に担当しております。


脊椎内視鏡手術は、患者さんにとってメリットの多い手術です。次に手術の概要について説明します。



☆腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症に対する手術☆


★ 従来法
 腰椎の直上に10cm以上の皮膚切開を行い、骨に付着している筋肉をはがします。はがした筋肉を開創器で開いて骨を露出し、病巣を展開します(図1、2)。直視下に骨を削ってヘルニアを摘出します。

《 図1 》


《 図2 》



★ 内視鏡手術
 約2cmの皮膚切開を行い、筋肉の隙間に1.6cmの内視鏡を挿入して骨に達します(図3、4)。内視鏡カメラ画像を見ながら、骨を削ってヘルニアを摘出します(図5)。

《 図3 》

《 図4 》

《 図5 》



 どちらの手術も、ヘルニアをとったり、骨を削って神経の圧迫をとるという治療の目的は変わりません。その目的を達するために皮膚や筋肉の損傷を最小限にするのが内視鏡手術のメリットです。

 患者さんにとっては、従来法に比べて、

   1.傷が小さい(図6、図7)

   2.手術後に痛みが少ない(主に筋肉の損傷が少ないため)

   3.出血が少ない(1か所の手術で 20ml程度です)

   4.手術後の創感染が少ない(従来法1.2%、内視鏡0.4%)

   5.手術翌日より立って歩くリハビリが開始できる

   6.入院期間を短縮できる

 と多くの利点があります。


《 図6 》

《 図7 》



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